共同生活援助(グループホーム)の開設を考えられている方へ
共同生活援助は、障害のある方用の「グループホーム」です。利用者専用の居室があり、スタッフのサポートを受けながら生活する、いわば「支援付きシェアハウス」です。一人暮らしに近い形態を取る集合住宅などでの「サテライト型住居」もあります。
厚生労働省では以下のように定義されています
- 障害のある方が地域住民との交流が確保される地域の中で、家庭的な雰囲気の下、共同生活を営む住まいの場であること
- ひとつの住居の利用者数の平均は6名程度であること
共同生活援助のサービス体系
サービスの体系により、次の4種類があります。
- 介護サービス包括型
- 日中サービス支援型
- 外部サービス利用型
- サテライト型
1.介護サービス包括型
主に夜間や休日において、相談、食事、洗濯、掃除、入浴、排泄など、日常生活の介護やその他日常生活上の援助を必要とする障害のある方が対象です。
利用者の就労先や日中活動サービスとの連絡調整や余暇活動などの援助も実施しています。また、医療的ケアが必要な場合にも、訪問看護やリハビリテーションなど、医療サービスと連携して支援を提供します。
一人暮らしや家族で生活することは難しいけれど共同生活を通じて社会参加を目指したい方、日常生活に介護が必要で地域での生活を希望する方に適しています。
2.日中サービス支援型
重度の障がいである、または、高齢であるために他の日中活動サービス(就労や通所サービスなど)を受けられない障がい者の方を対象としています。
家事や相談など日常生活上のサポートや入浴・排泄・食事の介護サービスを提供します。他のグループホームと違って、日中の時間帯もグループホームで過ごすことができます。
そのため、世話人や生活支援員の人数が他のグループホームより多めに配置されています。
短期入所(定員1~5人)を併設し、在宅で生活する障がい者の緊急一時的な宿泊の場を提供しています。
3.外部サービス利用型
夜間や休日において事業所の従業者が、相談や家事等の日常生活上の援助のみを行い、入浴や排泄等の介護は事業所が委託契約を結んだ指定居宅介護事業者が行うというスタイルです。
利用者の個別のニーズに応じた支援の提供を行うため、日中の活動内容や支援内容を利用者ごとに調整することが可能です。
4.サテライト型
グループホームの近くにあるアパートやマンションなどで生活する、一人暮らしに近い形態です。
食事やコミュニケーションは共通した場所で行いますが、独立した居室があるのでプライバシーが確保できます。スタッフが定期的に巡回を行っているため、生活上困ったこと等必要な時は援助を受けることができます。
集団生活が苦手な方や、グループホームを出たら一人暮らしをしたいと考えている方に適しています。利用できる期間は2年間です。
共同生活援助の対象者
前提条件
知的、精神、身体の障害のある方、難病患者の方
※障害支援区分1以上の方
※65歳未満の方
または65歳に達する日の前日までに障害福祉サービスもしくはこれに準ずるものを利用したことがある方
- 一定の支援を受けながら地域の中で暮らしたい方
- 家庭での生活が難しく、ひとり暮らしも不安がある方
- 将来的な自立を目指して、生活訓練を重ねたい方
共同生活援助のサービス内容
- 食事の提供、掃除や洗濯等の家事、金銭管理、相談、見守り等の支援や必要とされる方には食事や入浴、排せつ等の介護
- 利用者の就労先又は日中活動サービス等 との連絡調整や余暇活動等の社会生活上の援助
※利用者の就労を終えて帰宅後の夕方(夜間)から翌朝、就労先の休日に支援を行うことが多い。
共同生活援助の利用料
- 世帯所得に応じた自己負担の上限月額があり。
※上限月額よりもサービスに係る費用の1割の金額の方が低い場合には、その金額
- 食費、光熱費、居住費(家賃)など実費負担。
世帯所得(住民基本台帳上の世帯)とは
- 18歳以上の場合:利用者とその配偶者の所得
- 18歳未満の場合:児童を監護する保護者の属する世帯の所得
共同生活援助の開設要件
共同生活援助(グループホーム)は、障害者総合支援法が定める「障害福祉サービス」のひとつです。事業を行うためには、法律に基づく許可(指定といいます)が必要となります。
この「指定」を受けるため、以下の要件を満たすことが必要です。
- 法人格
- 人(資格要件)
- 物件
1.法人格
障害福祉サービスは、個人で行うことができず「法人」でないと指定を取ることができません。会社にも色々な形態があり、多くの法人格は一人でも設立が可能となっています。
2.人(要件)
管理者
- 資格要件:なし
- 配置:1名
従業者及び業務の管理など施設の管理業務全般を行います。(サービスの質の管理をはじめ、人事・労務管理や収支・備品管理など)
常勤で、かつ、原則として管理業務に従事することになっていますが、業務に支障がない場合は他の職務(管理者、世話人など)の兼務可能です。
サービス管理責任者
- 資格要件:あり
- 配置:利用者30人までに1名以上
利用者の個別支援計画の作成、従事者に対する技術指導等のサービス内容の管理、他事業や関係機関との連絡調整等を行います。
常勤である必要はありませんが、配置人数は利用者30人までに1名以上必要です。管理者との兼務が可能(ただし定員20名以上は専従)です。また、管理者との兼務でなければ生活支援員や世話人との兼務が可能です。
生活支援員
- 資格要件:なし
- 配置:以下、1~4各項の合計数以上の人数を配置(常勤換算)
- 障害支援区分3の利用者を9で除した数
- 障害支援区分4の利用者を6で除した数
- 障害支援区分5の利用者を4で除した数
- 障害支援区分6の利用者を2.5で除した数
※外部サービス利用型での配置は不要です。
障がい者グループホームに入居する障がい者の身の回りの介助を行います。食事や入浴、排せつなどの日常生活動作を介助するため、世話人よりも介護に関する知識・技術が必要になります。
世話人
- 資格要件:なし
- 配置:常勤換算で「利用者数」を6で除した数以上(世話人配置6:1)
※令和6年報酬改定により、世話人配置基準の「4:1」、「5:1」を廃止し、「6:1」の基準配置に加え、より手厚い人員配置を評価した 人員配置体制加算が新たに追加されることになりました。
生活管理・金銭管理・健康管理など、利用者さまの日常生活に必要な相談や援助を行います。
3.物件
- 住居地又は住居地と同程度に利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあり、かつ、入所施設又は病院の敷地外にあること。
- 1事業所の利用定員は4名以上。(居室の定員:原則1人)共同生活住居ごとに1以上のユニット(2人以上10人以下)を要すること。
- 居室面積は収納スペース等を除き、7.43平方メートル以上。(和室は4.5畳以上)
- 食堂、居間、洗面、トイレ(アルコール消毒液、ペーパータオル)
- 建築基準法に適合すること
- 消防法で必要な設備を整えること


