~申請の流れと、障害福祉専門行政書士が伝えたいリアルな準備のポイント~
「共同生活援助(グループホーム)事業に興味があります」
障害のあるご家族をお持ちの方とお知り合いになる機会が増えたからか、そんなお声をよく聞くようになりました。
ですが、実際に開設に向けて動くことを考えると、
- 「何から手を付けたらいいのか分からない」
- 「物件探しと申請ってどちらを先にするの?」
- 「どのくらい期間がかかるの?」
といった悩みに直面し、とても難しく感じるようです。そこで、まずはざっくりとした概要を理解していただくために、兵庫県内で開設する場合について必要な手続きや注意点、準備の流れをわかりやすくまとめてみました。
参考:「グループホーム開設の手引き」(令和6年5月改訂版)※神戸市、姫路市、尼崎市、西宮市、明石市内で開所する場合は各市の手引きをご確認ください。
グループホーム(共同生活援助)とは?
知的・精神・身体の障害がある方が、地域の住宅で支援を受けながら共同生活を営む「住まい」です。
アパートや戸建て住宅などで、世話人や生活支援員などの支援を受けながら、日々の生活を送ります。
- 1つの住居の定員:2~10人
- 法人単位での定員:合計4人以上
また、希望する方には「サテライト型住居(定員1人の自宅的空間)」の提供も可能です。
サービスの種類は3つ+1
兵庫県で開設できるグループホームは、主に以下の形態に分かれています
- 介護サービス包括型
→ 起床から就寝まで、生活全般を包括的に支援。 - 日中サービス支援型
→ 就労などに出かけられない方など、日中も支援が必要な方向け。 - 外部サービス利用型
→ 介護などの支援は、訪問系サービスなど外部事業所に委託する形。
+α:サテライト型住居(上記いずれかに付属)
それぞれの形態で、人員配置や報酬体系が異なるため、事業計画を立てる段階でしっかり検討することが重要です。
法人格は必須。開設には「指定申請」が必要です
共同生活援助は、「障害福祉サービス事業」の一つ。
運営するためには、法人格を持ち、都道府県や政令市などから「指定」を受けなければなりません。
法人格の例:株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人など
法人をお持ちでない方は、まず法人設立から取り組む必要があります。
指定申請に必要な期間は?【※最重要ポイント】
申請には、以下2つのステップが含まれます
- 事前協議(窓口との内容調整・確認)
- 正式な指定申請(書類提出・審査)
兵庫県では、事業開始が可能となる「指定日」が原則として毎月1日と15日に設定されています(※15日指定は、指定権者によります)。
申請スケジュールの一例(8月1日指定を目指す場合)
申請の受付から審査・指定までには一定の期間を要するため、事前協議から指定日までに最低でも3か月以上を見込んでおく必要があります。
- 5月初旬:施設候補の選定、法令調査
- 5月中旬:事前協議、書類収集、書類作成
- 6月中旬までに:指定申請書類の提出
申請受付後、休日を除く30日程度(補正に要する期間は除く)審査に要するため、希望する指定日の1ヶ月半前までには提出。
※4月1日の指定を希望する場合は、申請が混み合うため、2か月前(1月末まで)の提出要 - 8月1日:指定日(事業開始可能)
※ゴールデンウィークや年末年始など、窓口の休日・繁忙期もスケジュールに影響するため、時期によってはさらに前倒しが必要です。
また、施設となる物件については、以下のような関係機関との調整も必要になります。
- 建築指導課(建築基準法に基づく用途確認・既存建物の適合性など)
- 消防署(消防法に基づく設備・避難経路・防火対策の協議)
これらの調査や協議にはさらに数週間~1か月以上かかることも少なくありません。そうしたことを考えると物件選定後は、4か月以上の準備期間を想定するなど余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。
申請書類のボリュームは…正直かなり多めです
指定申請に必要な書類は、事業者さまに取得していただく分も含めると約30種類以上にのぼります。
- 指定申請書
- 運営規程
- 勤務体制一覧
- 設備一覧・写真
- 平面図・面積一覧
- 賃貸借契約書の写し
- 実務経験証明書
- サービス管理責任者の研修修了証 など
加えて、物件が市街化調整区域にある場合は都市計画法の手続き、古い建物の場合は建築確認の整合性や消防署との協議なども必要になるケースがあります。
窓口は市町によって違います
兵庫県では、申請先が以下のように分かれています:
- 神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市
→ 各市役所の担当課(法人指導課等)が窓口 - 上記以外の市町
→ 県民局・県民センターの健康福祉事務所
例えば、西宮市に開設する場合は「西宮市役所 福祉総括室法人指導課」が窓口です。
開設をサポートする制度もあります
兵庫県では、以下のような開設支援制度があります
● 県営住宅のマッチング制度
県では、県営住宅の空き住戸をグループホームとして活用できるよう、住宅部局と連携したマッチング制度を実施しています(年3回:5月・9月・1月)。
希望法人には、空き住戸の紹介や自治会との調整支援が行われます。
👉 詳細はこちら:兵庫県 障害福祉課 県営住宅等マッチング制度
● 自治体によるグループホーム開設補助金
市町によっては、独自にグループホーム開設にかかる費用の一部を補助する制度を設けている場合があります。
例えば:
- 神戸市…法人の新規参入を促進するため、改修費等の補助制度あり
- 明石市…物件改修費の一部補助+家賃補助制度など
- 西宮市や尼崎市、姫路市などでも、予算に応じて補助事業が行われている場合があります
ただし、補助金の内容や受付時期は年度ごとに変動するため、
「使える補助があるか?」は早めに各市町の障害福祉担当課に確認することをおすすめします。
> ご希望があれば、当事務所にて対象となる補助金の調査・照会も代行可能です。
地域で暮らすための大切な「居場所」
障害のある方が自分らしく暮らしていくためには、支え合いながら安心して過ごせるグループホームのような“居場所”が必要です。
開設には、想いと同時にしっかりとした準備が求められます。
弊所では、物件探しの段階から、指定申請、補助金の活用、建築・消防との調整、開設後の運営まで、グループホームの立ち上げをトータルでサポートしています。
制度や準備に不安がある方も、まずはお気軽にご相談ください。
あなたの「始めたい」という想いを、確かなかたちにするお手伝いをさせていただきます。