その記録、支援の“証明”になりますか?

トラブル・リスク対応

支援記録とは?

先日、ある福祉サービス事業所の運営指導の場に立ち会う機会がありました。
その中で、行政担当者から繰り返し伝えられていたのが、「記録は支援の証明になり得る」という視点でした。

形式的に記載された記録や、主観に寄った表現が目立つと、
「支援の実態が見えてこない」と判断されることがある──
そうしたやり取りを目の当たりにし、改めて記録のあり方を見直す必要性を感じました。

このブログでは、その運営指導での気づきをもとに、
“支援記録が本当に証明になるために、何を書くべきか”“どう書けば、現場で無理がないか”という観点で整理しています。

何を、どのように書けば“証明”になるのか

日々の支援記録に、次のような表現は見られませんか?

朝食提供、完食
服薬支援実施、問題なさそうだった。

これらの記録では、支援者の意図や努力は伝わっても、
「いつ・誰が・どのように・本人の反応はどうだったか」といった具体性や再現性が乏しく、第三者が正確に理解することが難しいとされてしまうことがあります。

7:45、服薬声かけ。「昨日よく眠れた」と本人談。
降圧剤と胃薬を内服、水分摂取200ml。表情や歩行に異変なし。
錠剤残数に問題なし。誤薬・飲み忘れなし。

昼食12:15提供。ごはん・鯖の味噌煮・煮物・味噌汁・ヨーグルト。
食欲あり、「お腹すいてた」との発言あり。完食。服薬(整腸剤)確認済。

このように記録されていれば、支援内容の適切さを後から検証できます。

「やったこと」を書くだけでなく、「どう対応し、どう確認したか」までを丁寧に残すことで、支援の正当性・安全性・丁寧さが文書として“証明”される記録になります。

記録の重要性はわかっていても、現場は忙しい

私自身、世話人としてグループホームで支援していた経験があります。      記録の大切さはよくわかっていても、目の前の支援が優先される現場では、「あとで書こう」と思ったまま、記憶が曖昧になってしまうこともありました。対応に追われてしまうときほど、すぐに記録ができないジレンマ。

職員によって支援経験や記録スキルに差がある中で、「完璧な記録を求めること」自体が現実的でない場面もあるというのが、現場の実情だと思います。

だからこそ、「どう書くか」だけでなく、「どうすれば書きやすくなるか」も考える必要があります。

以下は、無理なく質を高めるための現実的な工夫です。

▍無理なく記録の質を高める4つの工夫

記録様式を工夫する
 → 「声かけ・本人の反応・対応・結果」などの観察ポイントを事前に整理した様式を使うことで、記載がしやすくなります。

時間軸を活用する
 → 9:00服薬、12:15食事など、時系列で記録が整理されると、あとから見返したときの正確性が増します。

本人の“言葉”を重視する
 → 「元気だった」より「今日はあまり話したくない」といった具体的な発言が、客観性を支えます。

職員の心理的安全性を守る
 → 書けていることを評価し、萎縮せずに書ける環境を整えることも大切です。

おわりに

記録とは、ただの業務日誌ではなく、
支援の証明・事業所の信頼・職員自身の誠実さを伝える文書です。

記録に書かれた一文が、いざというときに「適切な支援を行っていた」という証明となり、職員や事業所を守ることになります。

にしのみや福祉こあみ行政書士事務所では、こうした記録の見直しやひな型の整備支援にも対応しています。
「これで大丈夫?」という不安のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

「この書き方で合っているのか不安」「現場がバタバタして記録に手が回らない」
そんなお声に、現場経験を活かして寄り添います。お気軽にご相談ください。