【グループホーム開設】物件選びで押さえたい法令基準と実務のポイント②~既存建物の確認事項~

開業準備・指定申請

はじめに

グループホームの開設を検討するとき、「空き家を活用したい」「今ある戸建てを使いたい」というご相談をいただくことが増えています。
立地や間取りが理想的でも、制度上その建物が使えるかどうかは、まったく別の視点が必要です。

今回は、建築基準法を中心に、既存建物をグループホームとして活用する際に押さえておきたい「建築確認済証・完了検査済証の違い」や「申請でつまずきやすいポイント」について、行政書士の立場から整理しました。

このブログでは、制度上のルールだけでなく、実際に開設支援の現場で直面したトラブル事例も交えてお伝えしています。

せっかく見つけた物件で開設できない…という事態を防ぐために、制度と実務の両面を踏まえてご活用ください。


グループホームは「寄宿舎」扱いになる

建築基準法では、住宅は以下の4つに分類されます:

  1. 一戸建て住宅
  2. 長屋
  3. 共同住宅
  4. 寄宿舎

共同生活援助(グループホーム)はこのうち「寄宿舎」と見なされます。(※「共同住宅」となる場合もあります。)

この2つはどちらも「特殊建築物」に該当し、防火・避難設備などが一般住宅より厳しく求められる建物です。

建築確認済証と完了検査済証の違い

「確認済証」と「検査済証」は、それぞれ「建築確認済証」「完了検査済証」を略した呼び方です。 名前が似ているうえ、省略されることも多いため、意味を混同してしまう方も少なくありません。

実際には、まったく別のタイミングで交付され、目的も異なる書類です。以下でそれぞれの役割と手続きの流れを確認していきましょう。

建築確認申請とは?

建築確認申請とは、建物を建てたり用途を変えたりする際に、その計画が建築基準法に適合しているかどうかを行政(または指定確認検査機関)に審査してもらう手続きです。

こんなときに必要です

  • 新築
  • 増築・改築(一定規模以上)
  • 住宅をグループホーム等に用途変更する場合

申請後、「適合」と判断されると交付されるのが「建築確認済証(確認済証)」です。これがないと工事は始められません。

完了検査済証とは?

工事完了後に行われる「完了検査」に合格すると交付されるのが「完了検査済証」です。

これは「申請通りに正しく工事が完了しました」という証明書で、建物を使用してよいかどうかの最終判断となります。

建築確認申請から完了検査済証までの流れ

[1] 建築主 → 建築確認申請書を提出
       ↓
[2] 行政または指定確認検査機関が審査
       ↓
[3] 適合と認められると「確認済証」が交付される
       ↓
[4] 確認済証が交付されたら工事を着工
       ↓
[5] 工事完了後に「完了検査」を申請
       ↓
[6] 現地検査で計画通りの施工が確認されると
       ↓
[7] 「完了検査済証」が交付される

違いを整理

書類名目的タイミング誰が交付する?
建築確認済証(確認済証)計画が法令に適合しているかの証明着工前行政または確認検査機関
完了検査済証工事が計画通りに完了しているかの証明工事完了後同上

既存建物を利用する場合の確認事項

空き家や中古住宅をそのまま使おうとした場合、建物が法的に適切かどうかの確認が非常に重要です。見た目や広さが希望に合っていても、建築基準法で適合しているとは限りません。確認済証や検査済証が手元に残っていない、建築時にそもそも確認申請がされていない、完了検査を受けていないなどのケースが頻繁に見られるので、まずは以下を確認してください。

  • 建築確認済証の有無(=適法に建てられているか)
  • 完了検査済証の有無(=図面通りに工事が行われ、使用してよい状態か)
  • 上記の書類がないときは建築士による適合証明書等で代替できるか?
  • 新耐震基準(昭和56年6月1日以降)に基づく建物かどうか
  • 延床面積が200㎡を超えていないか(※超えている場合は用途変更が必要)
  • ブロック塀の高さは1.2mを超えてないか?(補強が必要)         ※2.2mを超えていると建築基準法違反
  • 自治体の条例・判断基準に照らして問題がないか

また、自治体によっても

  • A市:「確認済証があればOK。完了検査済証は不要」
  • B市:「完了検査済証がなければ使用不可」
  • C市:「建築士調査報告があれば代替可能」

など、対応が大きく異なるため、建築指導課等への事前相談は欠かせません。

建築確認済証や完了検査済証がない場合はどうすればいい?

建築確認申請がなされていない場合、当然、検査済証もないので、1級建築士(又は2級建築士)・施主・所有者等から、建物の安全性を担保する申立書を記載してもらい、建築士など専門家による安全性を証明する書類を添付することでOKとする自治体(令和7年7月時点:大阪府)や

所有者等が検査済証を紛失した場合などで建築物台帳記載事項証明書の発行で代替可能とする自治体もあります(令和7年7月:吹田市)

基本的には、建築確認申請ができていない場合(確認済証なし)は指定不可という自治体が多いかと思いますが、必ず担当窓口に確認してから物件を探してください。

おわりに

見た目や立地だけで「この家使えそう!」と判断するのは危険です。
グループホームに転用するには、建物の法令適合性の確認が重要です。

にしのみや福祉こあみ行政書士事務所では、建築士との連携による適法性の調査、図面整理、建築課との相談同席など、物件調査段階からサポート可能です。
「契約前に確認しておきたい」「図面がないけど進められる?」といった内容でもお気軽にご相談ください。