福祉・介護の現場で働く職員さんの給与や処遇を良くするために、国が用意しているのが「処遇改善加算」
なかでも、より手厚い加算が受けられる処遇改善加算Ⅰ・Ⅱは、多くの事業所さんが目指したいところですよね。
ただ、そのためには「キャリアパス要件」という一定のルールを満たす必要があり、
とくに要件Ⅳ(年収440万円以上の職員を1人以上設定する)の部分でつまずく事業者さまが多い印象です。
「キャリアパス要件Ⅳの“年収440万円以上の職員”って、うちにはいないから無理ですよね…」
このように、「該当する職員がいない=加算Ⅰ・Ⅱは取れない」と判断してしまっている場合が少なくありません。
でも実はこの要件、“合理的な説明”があれば例外的に認められる、ということをご存知でしょうか。
「合理的な説明」があれば、年収440万円未満でも要件クリア
厚労省発表 2025年2月10日通知およびQ&Aでは、キャリアパス要件Ⅳにおける「年収440万円以上の職員」の設定について、以下のようなケースであれば、例外的に認められることが示されています。
<合理的な説明の例>
・小規模事業所等で職員間の賃金バランスに配慮が必要な場合
→ 1人だけ突出した賃金にすると、他職員との関係が悪化する可能性がある
・地域や法人全体の賃金水準が低く、すぐに440万円に到達できない場合
→ 地域全体の賃金相場が低いなど、構造的な要因がある場合
・制度整備や研修・経験蓄積に一定の時間が必要な場合
→ 人事制度の改定や昇格に必要な経験年数を考慮している等
つまり、すぐに条件を満たせないからといって、加算Ⅰ・Ⅱをあきらめる必要はないということです。
より柔軟な対応が期待できます
これまでも同様の例外規定はありましたが、今回はそれがより明確かつ具体的に示された点が特徴です。
特に注目したいのは、
「指定権者(市町村など)の判断により、幅広く認められる」
という文言。
このように、事業者の現状や事情に応じて、柔軟な判断がなされる余地が広がっています。
「説明できること」が大切
この要件は、単純に「年収440万円以上の人がいるかどうか」ではなく、
なぜ今は設定が難しいのか、今後どのように対応していく予定なのかを説明することがポイントです。
指定権者によって多少の運用の違いはあるかもしれませんが、現在の事業所の状況を伝えることが大切なのかもしれません。
「処遇改善加算」は職員のモチベーションアップや人材確保にもつながる、非常に重要な加算です。
今回の柔軟な取り扱いを知っていただき、積極的に有効活用していただけたらと思います。
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