障がい福祉サービスの「管理者」は、事業所の運営責任者。
ただ実際には、人手が足りないため、管理者も直接支援業務をされている・・・そんな事業所さまも多いのではないでしょうか。
障害者総合支援法に基づく人員配置基準では、管理者は「事業の運営に関して総括的な責任を負う者」とされており、原則として常勤かつ専従が求められます。
ただし、管理者の業務に支障がないと認められる場合には、他の職務との兼務が認められるというのが基本的な考え方となっています。
そして、管理者が「兼務する職種の常勤換算時間を算入できる」という場合もあるのです。
では、「兼務に支障がない」と認められるための判断基準はあるのでしょうか。
自治体によって取扱いが違う!
実は、この「兼務に支障がない」かどうかの判断は、全国一律のルールがあるわけではありません。
つまり、管理者として何時間労働すべきか、何時間までなら「兼務」が認められるのかという観点については各自治体がそれぞれの基準を設けて運用しているのが現状です。
たとえば兵庫県「障害福祉サービスの人員基準に関するQ&A」では、
職員の兼務可能な範囲について、下記のようなルールがあります。
①管理者については、当該事業所の管理業務に支障がない場合にあっては、次のとおり、他の職務との兼務が認められている。
ア サービス管理責任者との兼務で、その者が常勤で常に双方の職を兼務している場合は、それぞれ1人としてカウントできる。
イ 生活支援員との兼務で、生活支援員用務に4時間従事している場合は、管理者1人と、生活支援員4時間分でカウントできる。
ウ 同一法人が運営する他の事業所との管理者についても、兼務可能である。 ただし、2以上の事業所の管理者を兼務し、さらに生活支援員等の職員の業務を兼務することは認められない。
ちなみに、尼崎市と西宮市 でも、兵庫県と同じように、管理者が同時並行して兼務する職種にそれぞれ働いた時間すべてをカウントできるという取扱い、つまり常勤換算全ての時間を算入できます。(各市の手引き等にはそのようなことは明記されていません)
けれど自治体によっては1日の勤務時間の半分以上を管理者業務に充てる必要があるとされている場合もあるようです。
また、尼崎市や西宮市では兼務できる職種についても「管理者+世話人」2つの職種まではOKですが、「管理者+世話人+生活支援員」など3つ以上の職種の兼務はNG、というルールもあるとのことでした。(令和7年2月1日現在)
これは、たとえ時間的に可能でも、「管理者としての責任をしっかり果たせる体制であるか?」を大事にしているということだと思います。
地域のルールを踏まえた柔軟な体制構築を
このように、「管理者の兼務」には自治体独自のルールがあるようです。
そのため、どこまで兼務できるのか、兼務できる職種、数などを事前に確認しておくことをおすすめします。
ただし、「他職務と兼務しながらも、管理業務にきちんと責任が持てるか?」
という視点を持つことは忘れないようにしましょう。
事業所の実情をふまえ、現実的で無理のない体制を構築することが持続可能な運営につながっていくのだと思います。