各自治体では令和7年度の処遇改善計画書様式等が続々と公開されています。
処遇改善加算は職員の処遇向上につながる重要な制度です。
形式的に作成するのではなく、その目的を理解し、適切に活用することが求められます。
今回は、計画書作成のポイントについて解説していきます。
処遇改善加算とは
処遇改善加算とは、福祉・介護職員のと賃金(給料)を上げるための国の支援制度です。
- 対象:障害福祉サービス事業所で働く職員(特に利用者と直接関わる人)
- 目的:職員の給与を上げ、職場環境を整備することで定着率を高め、利用者にとってより良いサービスを提供するため
- 支給方法:通常のサービス報酬とは別に支給される
介護や福祉の仕事は社会にとって不可欠ですが、給与の低さが課題となっていました。 そこで、国が「処遇改善加算」を導入し、職員の給与を適正に引き上げ、働き続けやすい環境をつくることを目指しています。
どんな仕組みになっているの?
処遇改善加算は、職員の給与を引き上げるための制度です。賃金の向上には、以下のような方法が活用されます。
給料を上げる方法
- 基本給の引き上げ(毎月の給料を増やす)
- 手当の支給(特定の条件を満たした職員に支給)
- 賞与や一時金の支給(年に数回の特別支給)
加算の種類
加算の種類①(令和6年5月まで)
令和6年5月までは、処遇改善加算は以下のように分類されていました。
- 処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅳ)(基本的な加算)
- 特定処遇改善加算(Ⅰ)(Ⅱ)(経験のある職員向け)
- ベースアップ等支援加算(賃金全体の底上げ)
加算の種類③(令和6年6月以降)
令和6年6月から、処遇改善加算は1本化され、従来の「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」は統合されました。これにより、加算の仕組みが整理され、より分かりやすい制度になりました。
簡単に言えば、「頑張って働いた分が適正に評価され、収入が増える制度」です。新たな加算の仕組みを理解し、適切に活用していきましょう。
処遇改善加算を取得するには
加算を受けるためには、事業所が一定の条件を満たしている必要があります。
① キャリアパス(職員の成長を支援する制度)を整備する
・職位ごとの役割と給与基準を明確化(昇給のルールを決める)
・研修制度の充実(職員のスキルアップを支援する)
・昇給の仕組みを導入(努力や経験が評価される給与体系)
・給与改善の実施(一定水準以上の賃金を確保する)
・適切な人員配置(加算の種類によっては必須)
② 職場環境の整備
・修機会の増加(新人教育やスキルアップのための講習)
・労働環境の改善(夜勤の負担軽減や休憩時間の確保)
これらの条件をクリアした職場のみが、処遇改善加算の適用対象となります。
報酬の返還を求められる場合も!
処遇改善加算を適正に使わないと、指導や返還命令が出ることもあります。
- 加算の使い方のルール
- 必ず職員の給料アップに使う(事業運営費などに使ってはいけない)
- 一定割合を基本給や手当に反映する
- 不正利用のリスク
- ルールを守らないと、報酬の返還を求められる可能性あり
- 適正な運用をするために、給与改善の計画を明確にする
まとめ
処遇改善加算は、福祉・介護職員の給料を引き上げ、働きやすい環境を整えるための重要な制度です。
制度を正しく理解し、最新の情報を常に確認しながら適切に活用することが、事業所の安定運営と職員の働きがいにつながることを忘れないようにしましょう。