はじめに
近年、共同生活援助(グループホーム)への運営指導は特に厳格化される傾向にあります。
国の方針では、運営指導は「3年に1回以上」が理想とされており、とりわけ共同生活援助は就労支援や放課後等デイと並んで 重点的に監査・運営指導が強化 される分野とされています。
令和7年度には「運営指導マニュアル」「監査マニュアル」が全国的に整備され、確認項目や処分基準が標準化される予定です。つまり、これまで以上に 全国一律で厳密なチェック が行われることになります。
一方で、下記の兵庫県や明石市の公開資料からも分かるように、指摘内容の多くは 基本的なルールの見落としや記録の不備 です。
今回は、実際の指摘事例をもとに「よくある5つの落とし穴」として、その対策を整理します。
(共同生活援助)実際の指摘事例
以下は、兵庫県や明石市が公表した監査結果に基づく指摘事項の主な事例です。
| 分類 | 指摘事項(実例) | 対策のポイント |
| 人員配置 | 夜勤体制が基準未満(夜勤1名で多数入居者対応など) | 夜勤職員配置加算要件を常時確認、欠員補充の仕組みを整備 |
| 個別支援計画 | 個別支援計画が未作成/6か月以上更新されていない | 半年ごとの支援会議+議事録と計画を連動 |
| 記録 | 支援日誌が簡略化(「特になし」など)、実施内容と不一致 | 記録ルールを統一、支援内容を具体的に残す |
| 報酬請求 | 加算算定誤り(夜勤職員配置加算・重度障害者支援加算要件未達など) | 算定チェックリスト導入、研修履歴・シフト記録を保存 |
| 組織体制 | 虐待防止委員会が未設置、防災訓練・事故報告の未実施 | 委員会・訓練は年1回必須、記録と報告を徹底 |
参考資料:
よくある5つの落とし穴と対策
落とし穴①:個別支援計画と実際の支援が一致していない
- 指摘事例
- 計画に「日中活動先との連携」と記載されているのに、連絡・記録が一切ない
- 「帰宅時支援加算」が計画に位置付けられていないのに算定
- 対策
- 加算要件となる支援は必ず 個別支援計画に明記
- 個別支援計画と記録を突き合わせてモニタリング
落とし穴②:支援記録が不十分又は形だけになっている
- 指摘事例
- 「特に変化なし」とだけ書かれた支援記録が多数
- 入院時支援や帰宅時支援の記録が欠落
- 対策
- 記録は「何を支援したか」を具体的に記す
- 記録がなければ「支援していない」とみなされるリスク
落とし穴③:人員配置の不備
- 指摘事例
- 夜勤体制で基準人員が足りない
- 常勤換算の誤りで基準を満たしていなかった
- 対策
- シフト表と基準を定期的に突合チェック
- 欠員対応の代替要員を事前に確保
落とし穴④:加算要件の未達
- 指摘事例
- 重度障害者支援加算:研修未受講
- 夜勤職員配置加算:シフトで基準未達
- 対策
- 加算ごとに 要件チェックリスト を作成
- 算定前に「計画・記録・研修履歴」を必ず確認
落とし穴⑤:義務化事項の未対応(減算対象)
指摘事例
- 虐待防止委員会を開催していない
- 身体拘束廃止の委員会・研修が未実施
今後の追加チェック(2024年度以降の義務化)
- 感染症対策・災害対応の BCP策定と訓練・研修
- 3ヶ月に1回の感染症研修の実施
対策
- 義務化されている委員会・研修・BCPは 年1回以上の開催・実施が必須
- 未対応の場合は 1〜10%の減算 につながるリスクあり
- 「形だけの開催」では不十分。開催記録や研修記録を必ず残すこと
まとめ
共同生活援助の運営指導は、今後ますます厳格化が進みます。
特に「計画と記録の不一致」「人員体制」「加算要件」「義務化事項」は、典型的な指摘ポイントです。
今回ご紹介した事例は、兵庫県や明石市の公表資料に基づく 2023年度の指摘事項 ですので、ここで挙げたのは当時すでに義務化されていた内容に限られます。
しかし、2024年度(令和6年度)以降に新たに義務化された項目 もあります。
- 感染症・災害対応の BCP策定と研修・訓練
- 3ヶ月に1回の感染症研修の実施
これらは、2025年現在の運営指導では 確実にチェックされるポイント となっています。
次回以降のブログでは、こうした 新たな義務化事項や減算リスク についても掘り下げていきます。
ぜひ続けてご覧いただき、運営指導への備えにお役立てください。
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