支援の“その一歩手前”を支えます
「生活保護の申請、通らなかったんです」
「年金の手続きが遅れて、受給が止まってしまって…」
「利用者さまの手続きは当然のようにグループホームが全部やってます」
これは、私が日々ご相談をいただく中で、グループホームの現場から聞いた声です。
グループホームでは、日々の生活支援に加えて、
実は「利用者本人や家族が行うはずの行政手続き」をサポートしているケースが少なくありません。
- 家賃補助の申請
- 生活保護の申請
- 医療受給者証・障害者手帳の再交付
- 年金の現況届・振込先変更・口座開設
- 住民票の異動、マイナンバーカードの取得
本来であれば、本人やご家族、成年後見人、または相談支援専門員が担うべき手続きです。
しかし現場では、「誰もやってくれない」「対応できる人がいない」などの理由で、グループホームが無償で請け負っていることが多いのが実態ではないでしょうか。
実際の事例:不動産を理由に生活保護が却下されたケース
以前、あるグループホーム事業者さまから、利用者さまの生活保護申請に関するご相談を受けました。
年金額が少なく、生活が立ち行かないため生活保護を申請したところ、役所の窓口で「不動産を所有している(持ち分1/2)ため却下される可能性」を指摘されたとのことでした。
ところが、その不動産は親族が現在居住しており、本人はそこに戻ることもできず、活用できる状態ではありません。
ならばその説明をすれば良い…と思うかもしれませんが、「何をもって」「どのように」説明を行えばよいのかまでは役所も示唆してくれず、事業者さまもそのあとにどうすれば良いのかがわからず困っておられたようです。
そこで私は行政書士として、
- 不動産登記簿・写真などの客観的資料
- 利用者本人の障害状況
- 家族との関係性、居住不可理由の説明
- 必要に応じて医療・相談支援側からの証明
これらを整理し、利用者さまから正式に委託を受けて申請。
結果、生活保護が受理され、利用者さまは安心して生活を継続できる環境が整いました。
無事に受理されたと伝えたときの利用者さまのホッとされた笑顔、大喜びされたご様子は今でも忘れらません。
利用者・ご家族の安心にもつながる「外部専門職の関与」
グループホームが利用者さまのあらゆる手続きをすべて担っていると、一見「親切な支援」に見えるかもしれません。
ですが実は、すべてを事業所内で完結させてしまうことは、国が目指す「地域と連携しながら透明性のある運営を行う」という政策の方向性とはズレているようにも思えます。
本来、利用者さまに関する申請や行政手続きは、
家族・成年後見人・相談支援専門員といった制度上の役割を担う関係者と連携しながら進めるべきものです。
それでもなお、現場が“善意”や“必要に迫られて”引き受けざるを得ない状況があるからこそ、第三者である行政書士の関与が、有効な選択肢となるのではないでしょうか。
令和6年度から義務化された「地域連携推進会議」は、
“地域に開かれた運営”がなされているかどうか、第三者の目で確認していく場でもあります。
制度の中で「利用者支援」と「事業運営の健全性」が両立しているか──
申請や法制度対応について誰が担っているのかという点も、その判断基準の一つとなるとわたしは考えています。
このように、行政書士の関与は単なる「事務処理の代行」にとどまらず、
利用者・家族・地域・行政・現場職員の“五方に信頼を届ける存在”として、グループホームの価値を支える役割を果たすことができるのだと思います。
※6/21 三方⇒五方に修正(“地域”・“現場職員”を追加)
最後に──現場を見てきたからこそ、伝えたいこと
グループホームでの支援は、制度やマニュアルでは語り尽くせない、たくさんの“工夫と気遣い”に支えられています。
私もこれまで、職員さんが利用者さまのために申請書を整え、役所に足を運び、
「誰もやってくれないし、私たちがやるしかないんです」と奮闘されている姿を見てきました。
その姿勢には本当に頭が下がります。
でも、だからこそ伝えたいのです。
制度上の“役割分担”や“外部性”が求められている今、抱え込みすぎる支援は、いつか限界を迎えてしまいます。
困ったとき、迷ったとき、無理を感じたときに、そっと支援の一部を引き受けられる存在がいる──
それが、障害福祉専門行政書士の存在意義ではないかと思っています。
支援のすぐそばで、でも少し離れたところから。
利用者さま・ご家族・事業者さまそれぞれの安心のために、これからも寄り添っていけたら嬉しいです。
にしのみや福祉こあみ行政書士事務所では、
「制度と現場の間を埋める」ことを大切に、障害福祉事業者さまの運営をサポートしています。
どうぞお気軽にご相談ください。事業者さまの現場の“あと一歩”、お手伝いさせていただきます。