コンサル?行政書士?福祉事業の伴走者を選ぶ前に、知っておいてほしいこと

コラム

福祉事業を始めるにあたって、
「行政書士とコンサル、どちらに依頼すべきでしょうか?」
というご質問をよくいただきます。

正直に申し上げると、この問いに“絶対の正解”はありません。
事業者さんの状況、予算、どこまでの支援を求めるかによって、選択は変わってくるからです。

ですが、それぞれの特徴と“違い”を知らないまま選んでしまうことで、後々後悔されるケースを多く見てきました。

行政書士の役割は「書類だけ」ではありません

一部の情報発信では、「行政書士は開業支援だけ」「運営サポートはできない」といった説明がなされていることがあります。
ですが、それは一面的です。

実際には、行政書士でも障害福祉専門として運営サポートや加算管理、記録確認、改善提案を行っている事務所は存在します。

特に、私はこの仕事をする上で、
「制度を深く理解せずにサポートすることは、事業者さんに対して無責任だ」
と感じ、障害福祉専門、さらに共同生活援助に特化することを決めました。

法令や運営基準は毎年のように変わり、その都度、加算や体制届にも影響します。
広く浅くでは、対応できない――だからこその選択です。

コンサル事業者にも種類があります(でも注意点も)

最近は、障害福祉の運営経験をもとに開業された「コンサル会社」も増えています。
経験を共有してもらえる点では非常に参考になる部分も多く、特に実務寄りの現場支援では心強い存在です。

ただし、注意してほしいのは以下の点です:

  • 行政書士の資格を持たない場合、書類作成・提出の報酬受領は行政書士法違反にあたることがあります
  • 「連携している行政書士がいる」としても、その行政書士が障害福祉に詳しいとは限りません
  • 高額な契約をしたのに、結局書類は出てこない…というお声も少なくありません

「どこまで自分でできるか」「どこを誰に頼むのか」
見極めがとても大事です。

専門性は“保険”です

制度に沿って事業を行う以上、行政との対応は避けて通れません。
提出書類の不備ひとつで、
・加算が認められない
・過誤請求として返還を求められる
・最悪の場合、指定取消処分となる──
そんな事態になれば、月数万円の顧問料どころではない損害につながります。

しかも、それらのトラブルの多くは、悪意ではなく
「知らなかった」「ついうっかり」で起きてしまうのです。

だからこそ、私はこう考えています。
「専門性は、いざという時に守ってくれる“保険”のようなもの」だと。

事故が起きてから慌てて対応するのではなく、
その前に、気づいて備えておくこと。
制度の盲点や、ちょっとした運用ミスに早く気づける「第三者の目」は、
毎月届出が必要でなくても、日々の安心を支える重要な存在になり得ます。

行政書士という肩書きよりも大切なのは、
「その制度にどれだけ特化して、継続的に深く関わっているか」という視点。
「障害福祉専門」を掲げて活動している行政書士の多くは、
その制度の難しさと責任の重さを知っているからこそ、あえて専門に絞っているのです。

そして私も、そんな覚悟を持ってこの仕事に向き合っています。

選ぶのは「あなた」です

私は、行政書士として「制度の守り」と「現場のリアル」の両方を見てきました。
だからこそ、どちらか一方の支援だけでは不十分だと実感しています。

行政書士かコンサルか。
あるいは両方か。
いろんな情報や人の話を聞いて、誰と組むのが“自分の運営にとって一番良いか”をぜひ考えてみてください。

ちなみに、これは私が実際に経験した話ですが、
ある申請時に役所の窓口担当の方から、
「行政書士が入ってくれているなら安心ですね」
と声をかけられたことがありました。

制度の運用側(行政)も、それだけ専門性と法令順守の姿勢を重視しているということだと思います。

当事務所では、共同生活援助に特化した運営支援顧問をご用意しております。
制度の解釈、運営書類の確認、第三者視点でのリスクチェックなど、現場と制度の間をつなぐサポートを行っています。

まずはスポット相談も可能です。お気軽にご相談ください。